こんにちは、壱童の水野大です。
『鬼滅の刃』のアニメや映画に登場する剣技に憧れる方は多いのではないでしょうか?その動きには、実際の殺陣技術が取り入れられており、リアルな剣アクションとアニメならではの表現が絶妙に融合しています。
2024年11月17日、東京・月島駅から徒歩5分の場所にある佃多目的スタジオで開催されたゲスト殺陣クラスでは、殺陣歴30年のプロ・内堀克利先生を迎え、『鬼滅の刃』のアクションシーンの魅力やリアルな剣技について解説していただきました。
普段は侍クラスの講師をしている私も、この日は一人の参加者として他の会員さんと一緒に受講しました。刀を振る基礎から重心の置き方、さらにはアニメ『鬼滅の刃』の裏話まで、新たな発見に満ちたクラスとなりました。
内堀克利先生は殺陣集団10・Quatreの代表を務め殺陣歴30年のベテランです。映画や舞台だけでなくモーションアクターとしても活躍されています。特にアニメやゲームの動きを研究する中で、鬼滅の刃のアニメーションがいかに細部にまでこだわって作られているかを実感したそうです。『あの迫力ある戦闘シーンには、日本の殺陣技術が活かされています』と語る内堀先生の言葉に、私も参加者の皆さんも興味津々でした。
黙想から始まる基本練習と振り方の発見
自己紹介の後、クラスは黙想から始まりました。心を静め、礼をしてから練習に入ります。
最初の練習は「真っ向斬り」の素振り。頭の上から刀をまっすぐ振り下ろす基本動作ですが、内堀先生の指導には驚きがありました。
普段、私は刀を振る際に「握りの緩急」を意識しています。具体的には、構えから振る瞬間までは極限までゆるく握り、刀を振る動作が体に入り、抜ける瞬間のみ強く握って絞るようにしています。刀を持つ手を柔らかく使いながら、振るスピードと力を調整しています。
しかし、内堀先生の指導では全く違いました。先生は、最初から最後まで「刀をしっかり握り込む」ことを推奨されていました。さらに、振り方のポイントとして「肘を上げて、肘を下ろす」ことを意識することで、刀のブレを防ぎ、疲れることなく、早く、何回でも振れる方法を教えてくださいました。
最初は驚きましたが、実際に練習を繰り返す中でその効果を実感しました。腕全体で自然に刀を振る感覚が掴め、体への負担も少ないことが分かりました。
自分のスタイルと異なる指導を受けることで、新たな発見が生まれることを改めて実感した時間でした
永字八法の型を学ぶ
素振りの後は「永字八法」の型に挑戦。漢字の「永」を描くように刀を振るこの型は、基本動作の流れを連続的に学べる重要な稽古です。
以下の動きを繰り返し練習しました:
- 左胴斬り → 右斬り上げ → 左袈裟斬り
- 右胴斬り → 左斬り上げ → 右袈裟斬り
- 真っ向斬り → 突き → 正眼の構え
内堀先生は「一振り一振りに力を込めるには、腰をしっかりといれ、膝の向きを意識することが重要です」と教えてくださいました。また、「突き」の際に「刃を縦ではなく横にする」という指導もありました。これは刃が相手のあばら骨の間を通るためで、非常に実践的な視点で指導していただきました。
抜刀・納刀の練習で左手の位置を意識する
刀の扱いにおける基本動作の一つである「抜刀」と「納刀」の練習も行いました。この中で、内堀先生から教えていただいたのは、左手の位置の重要性です。
- 初心者のうちは鯉口(刀が鞘から出る部分)から離れた位置で握りがちですが、これは刀の操作を不安定にします。
- 一方、上級者になると、左手は鯉口をしっかりと覆う位置で鞘を握ります。これにより、刀の抜き差しが安定し、次の動作への移行もスムーズになります。
「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎も、刀の修行初期では鯉口から離れた位置で握っていますが、修行を重ねるにつれて鯉口に近づいていきます。上級者である「柱」と呼ばれるキャラクターたちは、全員が鯉口を覆う位置で鞘を握っており、彼らの熟練度が細部にまで表現されています。
抜刀・納刀の次は「重心の置き方」を学ぶ実践練習
次に行ったのは「重心の置き方」についての学びでした。刀を構える際の重心の重要性を実感できるペアワーク形式の練習で、日常生活にも活かせる気づきが得られる内容でした。
ペアで行う重心の実験
この練習は2人1組で行います。
- 一人が正座し、もう一人が立った状態で肩を押さえる
正座している人が立ち上がろうとしますが、立っている人は肩を押さえて立ち上がらせないようにします。 - 重心を自分の近くに置いた場合
正座している人が、自分の体の近くに重心を置いて立ち上がろうとすると、力がぶつかり合い、立つのが非常に難しくなります。 - 重心を前に置いた場合
一方、重心を自分の座っている位置よりも遠く前に置くと、立っている人が肩を押さえていても、力のベクトルが前方方向になり立ち上がることができます。
刀を構える際の重心と日常生活への応用
「刀を構える際、重心は変わります。重心が自分の足元に近すぎると、動きが重たくなります。しかし、適切な重心を意識すると、構えが安定し、次の動作への移行がスムーズになります。」
さらに、この考え方は日常生活にも応用できるとのことでした。
例えば、重いカバンを持つ時や荷物を運ぶ時に重心の置き方を意識するだけで、体に負担をかけずに動けるようになります。こうした「重心を意識する」という習慣が、日常生活における動作の効率化にも繋がるという点が非常に興味深い内容でした。
私の学びと参加者の声
このクラスで得た学びは、私自身の指導や動作を見直す良い機会となりました。「握り方」「構え方」「重心の置き方」など、これからの指導に活かしていきたいと感じています。
他の参加者からも感想はこちら
- 「永字八法で動きが繋がる感覚を得られました!」
- 「重心の置き方を学んで構えが安定しました。」
- 「鬼滅の刃を意識した殺陣の練習が楽しかったです。」
まとめ
今回のゲスト殺陣クラスは、殺陣の基礎から応用、さらにはアニメ「鬼滅の刃」に学ぶ刀の扱い方まで、多くの学びが詰まった内容でした。アニメの動きと実際の技術がリンクしていることを体感し、殺陣や剣技の奥深さを改めて感じることができました。
日本のアニメやゲームをきっかけに、侍や忍者に興味を持ってくれる方も少なくありません。壱童では、初心者からプロまで、殺陣を本格的に学べる教室を運営しています。俳優だけでなく、コスプレイヤーや歴史好きの方も参加されており、それぞれの目的に応じて楽しみながら技を磨くことができます。
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