12月のアクション道場の講師は、小坂逸先生。殺陣師でありながら舞台の脚本・演出も手がけており、殺陣アクションだけでなく芝居の指導も行っている方です。今回のレッスンでも、動き以上に「演技」を大切にした指導が行われました。
キッズクラスと大人クラスの2本立て(各75分)で担当していただき、どちらも中級者向けの内容でした。設定を細かく変えながら、戦いに入る前、そして戦いの後をどう表現するかを丁寧に掘り下げていきます。
大切な人の命を奪った人物が、目の前に倒れている
キッズクラスで与えられた設定は、「自分の大切な人の命を奪った人物が、目の前に倒れている」というもの。

参加者は習い始めて半年ほどでしたが、子役として芝居の経験があったので、設定を理解したうえで問題なく取り組むことができました。まずは設定だけを提示され、自由演技からスタートします。
倒れている相手に対してどうするのか。トドメを刺すのか。刺すとしたら、どんな感情で向き合うのか。敬意を持つのか、憎しみだけなのか。

自由演技の後には、良かった点や、さらに深められそうな部分を全員で共有し、それを踏まえてもう一度演技をします。さらに条件を変えて演じることで、同じ所作でも設定次第で立ち方、間、行動が大きく変わることを体験しました。

小坂先生は「決められたことが10あるなら、そこに2〜3を足せるのがプロ」と話されていました。ただ動きをなぞるのではなく、自分で考える姿勢の大切さが伝わる指導でした。
相手が格上の人物のときの殺陣
大人クラスには、2年以上稽古を続けている生徒が参加しました。キッズクラスとは異なり、こちらでは実際に殺陣も行いました。

最初につけた殺陣は非常にシンプルで、刀の交錯は6振り程度。普段のクラスでは1シーンで20振り前後行うことが多いですが、振り数を抑え、殺陣が始まる前のやり取りから、決着がつき、去っていくまでの「芝居」にじっくり時間をかけました。
途中で段階的に設定や感情を加えていきます。たとえば、
・攻撃しようとした瞬間に制され、動けなくなる
・相手が格上の人物で、これ以上踏み込めない



動き自体は難しくありませんが、「なぜ闘いが始まり、どう終わったのか」という背景を意識すると、思いのほか表現に苦戦していました。形はできていても、前後の感情や状況によって演技は大きく変わる。その表現をどう作るかを考える時間となりました。
まとめ
小坂先生のレッスンは、殺陣そのもの以上に、シーンの前後を大切にしている点が印象的でした。役者やパフォーマーとして活動していきたい人にとって、多くの学びがある内容です。
分かっているつもりになっていたことを、改めて考えるきっかけを与えてくれる有意義な時間でした。刀を技術として振る稽古は欠かせませんが、「どんな役で」「どんな状況で」「なぜそこに立っているのか」を意識することで、表現は大きく変わります。演技や感情に深く踏み込める貴重なレッスンでした。毎年開催していただきたい内容です。

小坂 逸・武双剣舞威衆 八剱代表
コサカスグル
芸歴30年以上。ノンバーバル(台詞なし)芝居、殺陣、剣舞威(けんまい)、アニメーションダンス、パントマイムなど多彩な身体表現を融合させ、独自の世界観を構築。国内外の舞台・イベント・映像作品において、演出・出演の両面で活躍中。言葉を超えて伝わる身体表現を追求し続けている。
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